自然と調和したアーバンデザイン

前橋市にアーバンデザインというプランがあるのを知ったというスタッフと話していて、ああそういえば当時アーバンプランなる企画を考えていた市役所の職員の方が時々サロンにみえておしゃべりをしていたのを思い出しました。街に木がほしい、土がほしいとか、前の駐車場は一部コンクリートを剥がして木を植えるといい、馬場川の水はもっと流れていた方がいいとかそんなことを私は思うままにお話したようなことを覚えています。アーバンデザイン についてはHPに掲載されていて、しっかりすすんでいることを知りました。プランの中のイメージ写真に、サンデールームの食材店が写ってるのを見つけて、私はなーんだうちはそのプランを先に実践しているんじゃないかと、あわよくばこのプランに自然栽培や自然と調和した暮らしを明確に織り込んだデザインとか企画を一緒にできたらよかったなと思うのでした・・・。

前橋の街の中も大きく変わろうとしています。古い建物を壊して大物を作ることも時に必要かもしれませんが、暮らす人たちがこの街でどのように暮らしたいかを表現していかないことには、仕組みやシステムだけが変わって、人はその渦にただ巻かれていってしまう。「私はこういう人です」「このように生きたいです、またはこのように生きていきます」と一人ひとりが体現していかないことにはね。黙っていたらわかりません、待っていてもいつになるかわからない。その表現方法は特別なことをするのではなく暮らしそのもの、イベントではなく毎日の暮らし。

サンデールームを始めたとき、野菜を育てないとならねば!となんとなく思っていました。理由は、近くのお店で買いたい食材がなかったから。単純な理由です。おいしそうだなと思える野菜、できれば素性のわかる野菜で、なんとなくだけど無農薬がいいなと。本当になんとなく思っていたことをいざ行動に移そうとした時、まず種を入手しようした時にホームセンターで種の袋をみると生産地がほぼ外国でしかもいろんな国でびっくりしました。小学校の時に学校の菜園でとうもろこしを育てた時の種の色、あのショッキングピンクの衝撃が忘れられず、無農薬の種を探しました。化学肥料はよくないと聞いていたので、堆肥をもらって畑の山積みにしておいて時々使ってみたり、お豆腐屋さんから畑に撒くといいと言われてはその山積みにさらに積んでおいたり・・・今思えば何もわからず畑を汚すことをやってしまったと反省していますが、そんな中でも施肥をしないで育てた白菜が全然大きく育たなくても、味がすばらしくよくて感動したのを覚えています。近所のプロの農家さんに「そんな小さいんかー」って笑われて、そのおじさんの畑の大きく見事な白菜を「食べてみなって」とくださるのだけど、全然美味しくなくてそれもまた驚きました。育ててみて知った、それまで一般に売られていた白菜の味のないことに気づくのでした。

店で使う野菜を全て自給するなど到底無理でしたが、素人ながらの感覚的な農体験でそれまで美味しいと思えない野菜が栽培方法によるものだと知り、そうこうするうちに農家さんとの出会いがあり、今ではおかげさまで農家さんにお任せして、わたしたちは流通という立場あるいは消費者という立場で、あの時の菜園で試行錯誤していたものよりも品質も味もそして安定的な農産物をいただくようになりました。そして、サンデールームは街の中にある店ですが産地と密接につながっていて、田舎で暮らすよりも自然に暮らしていけてるのではないかなと、畑をやっていた当時よりもずっと。この感じ、アーバンデザインに生かせるといいのでしょう。

今でも産地へいくと「はあ〜きもちいいなあ〜」と思うことはありますが、それは畑作業をしたいというより土があっていいな、土がある暮らし、そして土とつながることへの尊さへの憧れです。「街には街の役割がある」というのは、ある農家さんに言われた私の中での名言。そのうえ、産地へ行ったり、前橋でも郊外へ行けばすぐにわかるけど、田畑はあっても農薬や肥料や除草剤の散布とはセットで当たり前、田舎へ行けば行くほど自然てこともないのです。わたしたち一人ひとりが暮らす場所で、どうやって自然な暮らしを創造できるかにつきるのです。流行を追いかけて、人から聞いた情報であちこちへ行って何かをしてみてもあまり何も得られない時代になってきましたね。少々めんどくさくても、ちょっと頑張らなくてはできないことをやってみる方が創造的で楽しい、いよいよそんな時代です。

街の中でも自然な暮らしができるよ、一つのモデルプラン、ビジネスモデルと言ってもいい。そんなきもちで前橋の街の中で店を営んできましたが、これからはもっと自然栽培を発信するためのセンターにもなれたらいいなとの思いで、どこか田舎へ行かなくても、移住できる人はいいけどできない人にも、人それぞれが与えられた場で自然と調和して暮らせることをこれからもしっかりお伝えしていけたらと思います。

サンデールームの紹介をナチュラル・ハーモニーのウェブマガジンで紹介いただきました。小麦畑したい、カフェ準備中などなど、インタビューの中でつい口にしたことが記事になりはっとしたわたし。言葉を交わし、文字になるとスイッチがまたオンされそうです!