9月18日

配達にみえた農家さんの様子がいつもと違う。「どうしました?寝不足ですか」と咄嗟に出てきた言葉をかけたら「つかれてるんです けっこうやりきったんで これまでは甘えてたから」との返事。

農家さんは秋冬野菜の種まきをめいっぱいしたそうです。めいっぱいってどのくらいでしょう。長年土づくりをし準備していた農地すべてをどこも休ませず、できるだけ多くの種をまいたということでしょうか。販路の目処も立たないけれどとにかく多くまいたということでしょうか。どの畑にどれくらいの種をまいたのか、今度聞いてみようと思います。どんな野菜がどれだけ、どのくらいの時期に収穫できるのか、畑から生産されてくる野菜たちに合わせて、流通と消費者が準備しておけるように。こういう行為を一般的には契約とか作付けの依頼という風になるわけですが、私たちも収穫できるかわからないものを契約するというのは不安だし、お客さんがどれだけ買ってくれるかわからないのを作付け依頼するなんてやっぱり踏み出せませんでした。農家さんがいう、甘えは私たちにもあったことなのです。

農家さんの畑は10年以上しっかり自然栽培を続けてきて、野菜の品質が年々よくなってきています。続けてきたからこそのの成果が明確に出てきています。それは自然に消費者の方に伝わり、入荷すれば完売することが続きます。でも、ここでほしい方が急増しても、すぐに生産量を増やす事などできません。慣行栽培や有機栽培から、自然栽培へシフトするのにどれだけの年月がかかるか?

私たちサンデールーム は、自然栽培に取り組んでくださる農家さんの農作物は収穫できたらできる限り多く流通させたいと思いましたが、カフェという形ではその量に限界がみえていました。時々開くマルシェではイベントでしかないと感じ、食材を買うことを当たり前の日常におとしこめるような形をつくりたくて、食材店へシフトしました。そして目的だった農作物を販売する量は増えました。

10年前に出会った農家さんたちとこれまでの歩みをすすめてきて、いよいよ次の段階がやってきたかなあと思っています。これしかないな!と思った自然栽培を販売してきて、農家さんとのやりとりとお客さんからの反応と、そして今の社会現象とを鑑みてもやっぱり自然栽培だろうと、この10年で確信はつよくなりましたから。もう、不安なんてないなあ〜

「つかれてるんです けっこうやりきったんで これまでは甘えてたから」というお返事を聞いたら、それまでは寝不足のようにわたしの目に映っていた表情が、ほっとしてリラックスしている顔に見えてきました。目覚めたばかりの表情ともいえるかもしれません。いつもキリッとして強い輪郭に見えていたのが仮の姿で、目覚めたばかりって毎朝そうだけれどぼーっとしている。でも、変化の前ってそんな感じなんだろうな。