自然栽培の世界観

『わたしの背をおし、手を引いていってくれる

選んでいるよりも、選ばされている方が どこかしっくりきて

未来を想像したときに不安がなく これからもついていきます!

そして、一緒に歩む仲間は多いほどいい』

これがわたしの思う、自然栽培の世界観です。

農産物は地元のものを食べましょうという地産地消の考えをよきこととし、身土不二の考えも表層的な理解で地産地消に勝手に変換、自然栽培を選びたかったのに自らに勝手に制限をし選ばないようにさせていた時期が長かった私は、そこから解放されたらもう半端なく物事が進んでいきました。心の奥で望んでいたことは今あるものを否定するように思えたから、なかなか行動を変えることはできなかったのだけど、ある時そのタイミングがやってきました。もちろん、そのタイミングがおとずれたからと言って、いわゆるよいことばかりが起こるわけではなく、たくさんの試練をいただきました。それまでの人間関係、人との付き合い方も変化しました。

食材店を始めた翌年、2013年のことでした。自然栽培は単なる無肥料無農薬の栽培方法ではないこと、農作物が育つ場をいかに整えるかそのセンスが大事であって、敵地適作、敵期適作、種の自家採取の大切さを知った頃に出会った農家さんがいました。地元で生産者を増やすことは難しいと感じ始めた頃で、その出会いをきっかけに、地元以外の生産者さんからの農産物を分けていただくことが始まり、大いに助けてもらうことにもなりました。

肥料ありきの農業でしたら、地産地消は成り立つかもしれません。でもそれは表層的なものであって、その肥料は一体どこからきているの?化学肥料は?海外からの輸入ですし、有機肥料の元となる動物の堆肥にしたって、飼料はどこからきていますか?魚系の肥料ならばどこの海からどうやてつくられているの?植物性の肥料の菜種や大豆のかすなどはやっぱり輸入しているのではないのかな?全部を見たわけでもないのでわからないことも多いけど、地産地消に実体はないと私は確信しています。エネルギー問題、フードマイレージを考えたら、問題あることもわかっている。それでも、自然栽培でそれぞれの地域で収穫した農産物を他の地域と交流し、交換できる関係を日本全土で、または世界でつくられることが、今想像できる範囲では最も生命を優先した流通のあり方と思います。皆さんはどう思われますか?

食材店を始めて十年がすぎましたが、地方では自然栽培の青果、穀物を扱うお店は増えませんし、群馬でもっと生産者増えたらいいなと思うのだけれど、そのためには消費者も増えないとならないし、特に気になることの一つとして、ここは畜産県でもあるのでこれからの季節は特に、周辺の畑にほとんど生のままの状態で家畜の糞尿が置かれているのもよく見受けられること。このままではどうなっていくのか不安になってしまうことも全くゼロではありません。でもそこに目を背けないで、最近は地道な活動をしていくのが喜び。私たちが食べ物を選んでいるようで、選ばされている。この考えが腹落ちしてからは、物事の見え方も変わりましたし、きっと全てはよくなっているに違いないので、目を背けずやることやれば、あとは大自然にお任せです。

これからも自然栽培、自然栽培と・・・言い続けていくことと思います。このところ、産地へ赴く機会が増えました。やっぱり、田畑を訪れるとさらに背中を押されるし、手も引っ張っていってもらえます。食材店を始めた頃のことを思い出すような瞬間です。そうそう、話は戻り、2013年にお会いしてからずっとお世話になっていた農家さんが一昨年惜しまれながら離農されました。農産物のファンも多かったのでお客さんにもなんとお伝えしたらよいのかと困りましたが、彼は生産者である時からことあるごとに、「自分の田畑が自然栽培をし清浄化しても、自分達だけが自然栽培農産物を食べることができても、山はどんどん荒れていくし、水は汚れていく一方だ」と周囲を見ていました。何かできることはないかといつも他者を思っていました。そして、生産する側から指導をする側へ、田畑を出てこれまでの経験を生かし、広い世界へ訴えることを選ばれたことに対し、やっと受け入れることができるようになった頃、出来立てホヤホヤのHPにレビューを書かせていただきましたよ。心からのおめでとうと、これまでの感謝の気持ちを込めて。

彼のHP、意気込みがすばらしく、メッセージも素敵ですので紹介します。よろしければ、お仕事も頼んでいただけたら、きっといろいろ親身になって教えてくれると思います。生産者の前は流通もされていた方です。私たちも食材店を始めたばかりの頃、先輩のように頼ってはたくさんのことを教えていただきました。

morinona 美味しい農と食のコンサルタントhttps://morinona.wordpress.com/