自然栽培全国普及会で年に4回発行する季刊誌「コンパス」の取材で奈良と和歌山の産地へ行ってまいりました。奈良はかれこれ10年以上は飲み続けています、健一自然農園やっとやっと行くことがかないました。各企業さんとのコラボや環境活動など、幅広いご活躍をされ影響力も大きな農園さんです。たかがお茶、されどお茶。薄れつつある日本文化に時代だから仕方ないよねと特に文化継承などふだんはあまり考えないでいたことも、さすが大和国、数日足を踏み入れただけでかなり影響されて帰ってきました。農家さんのお話と、年々広がっているという自然栽培の茶畑を実際に目にしたことは大きくて、この夏、冷蔵庫に水出しのお茶を欠かさぬよう、そしてサロンにお越しいただいたお客さまにはいつでもお出しできるようにしたいですね。合言葉は
ペットボトルのお茶よりも ずっとおいしい水出し茶
健一さんのお話でとても印象的だったのは、最近よく目にするレインフォレストアライアンスのコーヒーや紅茶、カカオやバナナ、ナッツなどにも持続可能な社会の実現と豊かな環境の保護を掲げた企業の取り組みがありますが、それ全部海外の話。アマゾンの森を保護しようというけど日本の森林のことはどうなるの?っていうこと。自然栽培のお茶を飲むことは、環境保護にもつながります。大和お茶畑は、歴史の古い山間部で栽培されているものがほとんどで、畑というより林業に近いそうです。なので森林の保護、農薬肥料を使わないので土壌汚染も海に流れていく水の汚染もありません。実はお茶に使う肥料は水質汚染に多大な影響を与えていること、ご存知でしょうか?これを読むと、日本人のお茶離れも無理はない、人も自然の一部であるから自然にお茶を飲まなくなったのではないかと、でもそうはいかせまい、どうにかして飲ませようとペットボトルの飲料水が便利に供給されるようになったのかなと勘繰ってしまうわけです。もし、そうはいかせまいとするならば、自然と調和して持続可能であるお茶を栽培し加工して商いにするのはいいことですよね。そういった意味でも健一さんの一農家というよりも、経営者として自然栽培を普及しようとする取り組みにエールを送ります!
15歳の時に自然農を志すことを決め、高校卒業してすぐに研修、多品種での自然農をするも自給自足ならば成り立つが経営は無理であろうと、そして自給自足では自然農を普及することが難しいと理解し、その後自然栽培へ舵をきります。2001年代表の伊川健一さんが何年も放棄された農地をかり一人で整地をしたところからスタートしたそうです。それから20年経った今もなおまだ自然栽培という言葉はまだまだ認知されていない現状もありますが、最後に健一さんのHPから素敵なメッセージを見つけてうれしかったのと、私の支持する自然資本経営の考えと一致しているのでここに引用します。
「生態系に抱かれて」
茶園にいると様々な生き物たちと出会います。
そして、虫や鳥や他の生き物同様、人も自然の一部であることに日々気付かされます。
自然がなければ経済は成り立ちませんし、自然界はとても効率的に水や空気、エネルギーや生命のめぐりを循環させ、極めて経済的な働きをしています。逆に言えば、自然の理にかなわなくなったものは、徐々に自然淘汰されていく仕組みになっているのではないでしょうか。
「自然環境を守るという自己犠牲的な生き方」か「お金をただ求める世界」か、という二択ではなく、自然を深く洞察した先にある本当の経済を、お茶というものを通して世代を超えて探求していけたらと思っています。
そしてゴールはお茶をつくることではなくて、鳥や虫やその他の生き物たちのように、「人も自然として在れる未来」を実現することです。
健一自然農園という一つの雛形を可視化して、オープンソースにして、ご縁をいただいた方々とそんな未来を広めていく横展開をしていきたいと思っています。