山のハム工房ゴーバル

岐阜県恵那市へ、折しも紅葉の季節、
山の木々を眺めながらのドライブで
山のハム工房ゴーバルさんを訪ねました。

無添加でハムやソーセージを作っているとの噂を
聞いてから早10年、念願かなっての訪問です。

山の工房ゴーバルへ到着。この日は週に一度の豚肉が届く日。
半身になった豚がトラックにたくさん詰まれてきていました。
ゴーバルでは原料豚の飼育から加工まで一貫生産しています。
飼料はオーガニックといはいえませんが、遺伝子組み換え
農作物はつかっていないとのことでした。

1980年、2つの家族ではじめたソーセージ作り。
おひとりは、獣医さんでもある石原さん。写真はもうおひとかたの
桝本さんです。半身の豚を手早く3つに切り分けながら
肉の部位についてレクチャーをしていただきました。

切り分けた肉を運ぶ作業をのお手伝いさせてもらい、
あまりの重さに驚きました。お米袋30キロとはまた
違う重たさ、手で持ち上げようと思うとすぐに手首が痛くなって
しまいます。怖がらずに両腕で抱きかかえるように、
身体全体をつかって持ちあげるようにしたらだいぶ楽になりました。
豚肉加工って力仕事、そして、植物であるお米とは違う、
動物のいのちの重みを感じる経験となりました。

こちらはもも肉。生ハムの塊が思い浮かびますよね。
一般的に豚肉は数日ねかしてからスライスをしますが、
ゴーバルでは届いてすぐに骨を抜き、スライスをして
パック詰め、冷凍します。ゴーバルの肉に臭みがないのは
これがおおきな理由。

工場長の田中さんがベーコンやハムを燻製しています。
時間をかけてじっくりと・・・熱源は炭、2種類の炭を
つかいわけて火加減を調節しているとのこと。仕上がり具合の
チェックに余念がなく、ベーコンやハムなどの加工肉は
本来こうして、手間ひまかけて作られる贅沢品であることが
今回とてもよくわかりました。

大切に育てられた豚肉を保存して、長く美味しく食べる。
そのためにために今日まで伝えられたきた知恵が
ここゴーバルではしっかり生かされているようでした。

さらにさらに、燻製につかう桜チップを買ってくるのではなく、
どこかで桜の木を切るよ~と聞いたら、木を切りに行き、
そして薪にしてつかっていました。こういう細かなところに
創造があって、感心させられることばかりでした。

桝本さんのお宅ではリビングの薪ストーブや庭先のピザ窯と、
暮らしのなかにごくごく自然に火がありました。
火を扱う所作や薪の積み重ねている様子から、外国の暮らしや
子どもの頃に読んでいた絵本の世界に迷い込んだかのような
気持ちになりました。桝本さんと火との距離がとても自然で
無理がありません。

訪ねた日の夜は、週に一度の石原さんのお宅にスタッフが集まって
夕飯を食べる日。畑でとれた野菜やゴーバルのハムやソーセージをつかった
石原さんのお料理をごちそうになりました。

キングソーセージとズッキーニ炒め。
初夏に収穫を終えたズッキーニの苗を夏の間片付けないで放っておき、
秋になったら、再び実をつけ大豊作だったそうです。秋のズッキーニは
水分がほどよくぬけて、なかなかの美味しさでした。

スモークしたハムの数々。香辛料をきかせたもの、
コットンでていねいに包んで燻製したやさしい味わいのもの、
製法や味付けによる微妙な違いを楽しみました。

ゴーバルのソーセージはお肉の味がしっかり感じられます。
塩とスパイスだけのシンプルな調味料と
燻製や熟成という保存して、旨味を引き出す知恵や
技術からつくられる加工肉には素晴らしい食文化を感じます。

化学調味料が入っていないことはとても素晴らしいことですが、
それとは別の、食文化を目の当たりにすることになりました。
実際に、石原さんは年に一度インドへ行き、現地の大学の農学部で

ソーセージやハムの作り方を教えているそうです。

ベーコンとさつま芋の炒め物。味付けの基本はベーコンの塩味だけ、
ほんの少々お醤油を加えただけというシンプル料理。ベーコンの
塩味と旨味とさつま芋の甘さがマッチしていて、箸がすすむこと!

ゴーバルを訪ねたちょうどその日に食材店KURAは食肉販売の検査でした。
無事、許可されたのでこれからはお肉と加工肉の販売ができることに
なりました。冷凍の豚肉で、小分けに包装されていて使いやすいです。
ハム、ソーセージもありますので、ぜひ一度お試しになっていただきたいと
思います。

星野充子

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