ある時、畑で農家さんから「どういう肥料を使うかを聞いてくる人もいるんだよ」というお話を聞きました。その当時は、化学物質過敏症というのも知らなくて、どうやらとても敏感な方で、無農薬で野菜を育てていても肥料によっては反応するということでした。動物の糞尿由来であろう堆肥が畑に山積みになっている光景はよく目にするものの、動物を飼育するときの飼料や環境、投薬まで考えたことがありませんでした。考えたことはないけれど、思い出してみれば時々、ゲージ飼いの鶏小屋や放牧スペースのない牛小屋などを車で走っていて見たことはあるので、畜産の不自然さをあらためて理解し、無農薬の野菜を仕入れているから=安全な食材を選んでいると思っていた私は、「そんなこと言ったら食べるものないですよね」と咄嗟に出た言葉とは裏腹に、畑でその話を聞いてすぐ自分のできる限りの情報を集め、自然栽培という農法があることにようやく辿りついた、私にとっては大きなきっかけではありましたが、それはまだ言葉だけを知っただけで、どこにその農家さんがいるのかは分からず、有機栽培の無農薬の農家さんにお世話になっていたこともあり、自然栽培という農法よりも畜産の飼育環境の問題に意識がいくようになりました。牛乳など乳製品、卵、お肉も選ぶにも基準を持たないとならないとそこであらためて気づき、調達の難しさから動物性食品をとることに抵抗が出てきてほとんど一切食べない期間もありました。今思えば、食事制限をしているようにも見えて、自分の中での基準を作る期間だったようにも思いますが、、。食事療法、民間療法、マクロビオテックなども本から学びました。サンデールーム界隈にマクロビアンが多かったように思います。完全なる玄米菜食ではないものの、野菜中心の料理で無農薬の野菜を使い、出汁をとり、調味料も油も製法を厳選したものを使っていたので「サンデールームであれば安心して食べられる」と菜食の方にも喜ばれていました。毎日のように通ってくださったお客さんがいた時代、野菜だけの家庭料理を出す飲食店はもしかしたら今でもあったら私も行きたいかもしれません。つかれた時、料理をする気力がない時、人が作ってくれた料理が食べたい時、そんな日に選んでいただけたのだと思うとありがたい限りです。一方で、自分で治すことに興味を持っていた私は「身体の声を聴く」こと「近くで無理なく調達できる食材」を意識をして、農家さんが育てた旬の食材だけで毎日でも食べられる体にやさしいお昼ごはんを作りつづけていました。
サンデールーム vol.6
