こうして自家菜園をしたり、農薬を使わず有機肥料で栽培をする数件の農家さんに野菜をわけていただきランチを作っていた期間が約12年くらいだったと思います。お味噌作りや洗剤のこと、環境問題などを教えてくれた有機栽培農家さんは、どの方も2001年に有機JAS制度が始まる以前から長く無農薬栽培に取り組んでこられた農家さんでしたが認証は取得しておらず、有機栽培と表示し一般流通にのせることができなかったことを私は後々食材店を営むようになったことで知りました。この制度が始まる前は、表示に関する法的な規制がなく、表示の不統一や消費者の誤認が生じる懸念がありました。聞いた話では、一般栽培(農薬、化学肥料を使用)なのに無農薬のシールを貼って販売するケースもあったとか、今となっては知るよしもありません。ただ、取引している農家さんはどの方も認証を取得していないため、ほぼ皆さんは自主流通で個人の消費者に販売をするという方法をとっていて、長く有機栽培をされている方なのでお客様も年配の方たちが多いように私には見受けられて、もっと若い人(当時の私も含む30代)にもこんなにもかっこいい農業に取り組んでいる農家さんたちを紹介したいなという思いがあって、イベントなどを企画しはじめたのがこの頃。土や田畑に思いを馳せた食事、畑で実る農産物の美しさ、農家さんのお家でいただいた豊かな食をサンデールームでもお客さんに食べてもらいたいと、勝手ながら農家さんに成り変わり、発信をするようになりました。今、1階の食材店は元はカフェの駐車場でしたがここで「日曜市」というオーガニックマーケットを始めたのもこの頃。農家さんとお客さんをつなぐ、私たちが農家さんからわけていただいた農産物で料理することが気持ちがよかったから、その感覚をお客さんとも分かち合いたいと思ったのが始まりです。
サンデールーム vol.5
