New micolumn

オーナー
星野充子

皮膚は第3の脳

お手伝いをしていただいた綿のごみ取りがひと段落して、種取り作業の工程へ入りました。この場を借りて皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。種取りした綿はヘンプと合わせて糸にして、Tシャツを編んでいきます。今回は綿とヘンプが約半々で、綿のうち約3%が自然栽培綿で残りは海外のスーピマオーガニックの予定です。オール自然栽培のTシャツまでにまだまだ道は遠いですが、一歩進んだことはうれしいです。そして、和歌山県産有機栽培綿のTシャツも残りあと3枚、益久さんに作っていただいた自然栽培綿のクルーネックセーターも残りあと2着となりました。まだご覧いただいていない皆様、ぜひお手にとってみてください。とても着心地のよいTシャツとセーターです。

『皮膚感覚と人間のこころ』などの著書で、皮膚の研究を紹介する傳田光洋氏は「自分と世界を区別する役割を果たす皮膚は心と密接なつながりがあり、光や音からも無意識に影響を受けている可能性がある。一方で外界からのストレスで表皮の状態が悪化することが、カラダやココロの不調を引き起こす原因になっているとも考えられる」と言う。皮膚には、圧力や温度、湿度以外に、可視光や音までも感知できる機能、脳のような情報発信機能があり、“第三の脳”ともいえる働きがあることがわかってきたそうです。

肌触りのよいタオルやブランケット、ハンカチなどの小物や靴下もですが触れるだけ心が落ち着いたり、癒やされたりすることがあります。どんなに忙しい朝でも、顔を洗いタオルで拭くとき、パジャマから着替えて下着やシャツの袖に手を通すときの一瞬があります。このような触覚は安心感にもつながるので、この一瞬一瞬の積み重ねは日々のストレスを軽減にもつながります。サンデールームのギャラリーで扱う衣類にインナーが多いのは、休日だけでなくお仕事の日や家事や育児で多忙の日にも自然素材の衣服を着ていただきたいという理由から。職場に自然素材の衣服は似つかわしくない、着ていくのはもったいないと言う方が時々いらっしゃいます。確かにデザイン的に難しいこともあると思いますが、どこか一部でも取り入れる工夫はできるはず。安心して心地よい気分でいると仕事がはかどったり、職場全体によいエネルギーを循環させることができたり、しませんか?

糸を撚り、織って衣服ができていたもとはといえば、祈りの行為でした。お守りですよ、それが衣服の本質。自然な食材を選ぶように、衣服についてあらためて考えるきっかけとして、4月は2つの企画展を開催します。柔軟剤や合成洗剤の使用をやめてみること。地球もからだも喜ぶ自然な衣類を一つずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

 スワラジスタン 国境のなき伝統服展

 KIKUYAヘンプフェア